腋臭症(わきが)とは
汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があります。 このアポクリン腺から分泌される汗は比較的どろっとしていて、雑菌が発生しやすく、細菌感染が伴うことで強い臭いを発生します。腋臭症(わきが)の人でも、フレッシュな汗は臭わないのですが、これが溜まり細菌によって分解されることで臭いが発生するというわけです。原因は遺伝性が多く考えられ、悪化させる要因として食事の欧米化や喫煙などが挙げられます。 体質なので、程度は人によって異なり、汗を制汗剤などで抑えたり、常に清潔にしておくことで問題ない場合もあれば、独特の臭いがきつくわきがとして疾患扱いを受ける場合もあります。
腋臭症(わきが)の症状
早い時期だと小学校高学年から臭いが発生する場合もありますが、ほとんどは思春期の第二次性徴が現れる時期、男子なら高校生、女子なら中学生後半に独特な臭いが発生するようになります。汗をかいたまま放っておくと、衣服の脇の部分が黄色く変色する場合があります。 わきがの人は耳垢に湿り気があることが特徴です。
このような症状に心当たりありませんか?
- 人よりも汗をかきやすい
- 洋服のわきの部分が濡れたり、シミになったりする
- わきの汗の匂いが気になっている、他の人から言われたことがある
- 耳垢がベトベトしていて臭う
腋臭症(わきが)の治療
当院では患者さまの症状や生活状況に合わせた治療方法をご提案しています。程度が軽い場合は外用剤やボトックス注射による対処、根本的に治したいという方には保険内でできる手術を勧めておりましたが、最新機器ミラドライの導入により、さらに選択肢も増え、多汗症の治療も行えるようになっています。
★最新機器『MiraDry(ミラドライ)』のご紹介
切らない治療のMiraDry(ミラドライ)とは
脇汗と臭いを“切らずに”治す
MiraDry(ミラドライ)は米国で開発され、皮膚を切ることなく腋臭症(わきが)・多汗症の治療が行える最新の装置です。 水分に効率的に吸収されるマイクロウェーブ(電磁波)を利用し、汗腺にある水分をターゲットとし、脇の汗や臭いの原因であるアポクリン腺・エクリン腺の機能をなくしていきます。
失われた汗腺は再生しないので、従来の手術同様、長期間の効果をもたらします。日本では約86台のミラドライがクリニックに導入され、症例数は約1万件を超えました(2015年1月時点)
当院では2015年1月にミラドライを導入。北九州市では2件目となる、数少ないクリニックです。 ※最近の臨床データでは、施術2回で平均82%の発汗の減少が認められています。
●ミラドライのメリット
①切らない
手術ではなく皮膚を切ることがないので、合併症などのリスクが減り、安全性に優れています。
②傷が残らない
皮膚表面に傷跡が残らず、審美性を維持できます。
③短時間で施術が可能
施術時間は方脇約20~30分。コンピュータ制御されたハンドピースを当てるだけで、体力消耗も抑えることができます。
④長期間の効果
外科手術を同じく、長期間の効果が期待できます。
⑤日常生活に支障がない
術後、多少の腫れや皮下出血はあり、激しい運動は控えていただきますが、当日からの入浴や日常生活が可能です。仕事や学校を休む必要はありません。
●ミラドライ施術手順
①施術3~5日前に剃毛・除毛
↓
②長期作用型の制汗剤の使用を中止
↓
③施術当日、クリニックで用意された施術着を着用
↓
④マイクロウェーブ派の照射(所要時間は両脇で60~120分)
※治療箇所に多少の痛みや腫れを伴う場合があります。
※腫れや不快感を最小限に抑えるため、鎮静剤の処方やアイシングの指導を行う場合があります。
※治療箇所は清潔に保ってください。術後は脇に刺激を与えないようゆったりとした服装を心がけてください。
※治療後、炎症反応や不快感がなくなるまでは、シェービングや制汗剤の使用を控えてください。
※施術後1週間~数日は激しい運動や重労働を控えてください。
●施術ができない方
以下に該当する方は施術ができませんのでご了承ください。
・ペースメーカーや他の電子機器が体内に埋め込まれている方
・酸素投与している方
・局所麻酔アレルギーの方
・妊娠中の方
・免疫抑制の方
・わきに傷のある方
●料金
保険適用外の治療となります。
料金は初回33万円、2回目18万円(税別)
(※1回で十分な効果が実感できますが、より高い効果を望む場合、2回目の手術を行います。)
ご相談されたい方は医師またはスタッフにお申し付けください。
ミラドライ以外の治療法
以下ではミラドライ以外の治療法をご紹介します。
・外用剤による対処法
・ボツリヌストキン(ニューロノックス)注射による対処法
・皮弁法手術による治療
●外用剤による対処法
程度の軽い方には外用制汗剤を処方し、ご自身でのケアを中心に経過を診させてもらっています。一般に市販されているデオドラント製品より制汗作用があり、多汗症や腋臭症(わきが)に有効です。
- D‐Bar(ディーバー) … ミョウバンを主成分とし、殺菌成分も配合したスティックタイプのもの。汗の臭いと量を抑えます。※腋臭症(わきが)の方におすすめ
- デオドラントクリーム … 伸びのよいクリームタイプです。 革靴やブーツの際の足の臭いが気になる方にも、体に広く塗布できるので使いやすいです。 ※腋臭症(わきが)にも有効
- 塩化アルミニウム水溶液 … 主に手足や脇の多汗症に使用します。 制汗作用が最も高い製品で、就寝前に噴霧してすりこみ、起床後に洗い流します。通常、使用開始後3~4日から効果が現れ、数日間持続します。 ※多汗症の方におすすめ
●ボツリヌストキン(ニューロノックス)注射による対処法
ボツリヌストキン(ボツリヌス毒素から抽出した成分)を皮膚に注射することで、その部分の汗を抑えることができます。どちらかというと多汗症でお困りの方への治療法ですが、わきがの方にも有効です。効果は約半年持続します。
汗が気になる夏場にだけという場合も可能です。
施術手順
①クリーム麻酔貼付を事前に30分ほど行います。
↓
②注入点をマーキングし施術を開始します。
↓
③脇の皮内に方脇40~50カ所を注入、時間は両脇で20分程度です。
※施術後、数日~1週間で効果が現れます。
※2週間後に効果評価のためご来院いただきます。
※妊娠中・授乳中・重症筋無力症の方は施術できません。
※抗生物質・抗コリン剤・ベンゾジアセピン系薬剤服用中も施術できません。
※ワーファリン・抗血小板薬などの服用中も施術できません。
●ボツリヌストキン(ニューロノックス)注射による対処法
当院で取り入れている皮弁法(剪除法)は、脇の下の皮膚を切開してひっくり返し、直接目で確かめながらアポクリン腺を除去していく施術法です。丁寧な仕事が要求されますが、当院では術後の治療効果、傷跡のレベルに自信を持っております。
手術は片側ずつ行い、一方を終えて2週間後以降にもう片方を行うため、ある程度の通院期間が必要となります。
施術手順
①局所麻酔を脇の下に打ちます。
↓
②脇の皮膚のしわに沿って皮膚を約3~4cm切開します。
↓
③切開部分から脇の下の皮膚を剥離します。
↓
④脇の下の皮膚を裏返し、ハサミを使って汗腺を除去します。
↓
⑤切開部分と剥離部分を縫合し、ガーゼを固定し終了です。
※手術後はガーゼの固定が必須です。
※術後1週間、入浴はできませんが胸から下のシャワー程度は可能です。
※腕を大きく動かすなど出血の原因となるので、なるべく安静に過ごしてください。