引き続き、皮膚の病気である「乾癬(かんせん)」について紹介したいと思います。
乾癬の検査方法
乾癬は特徴的な皮疹の形や分布をしていますので、鑑別する方法は主に視診になります。他の皮膚病と判別しにくい状態の場合は、皮膚の一部を採取して詳しく調べる生検という検査を行います。
乾癬の治療は状態に合わせて
乾癬の治療方法はいくつかありますが、症状に合わせて治療方法を検討します。
<軽度の場合>
軽度な症状の場合は、主に外用療法(塗り薬)での処置になります。
塗り薬にはステロイド外用薬とビタミンD3外用薬、ステロイドとビタミンD3の配合外用薬があります。
ステロイド外用薬には炎症を抑える作用、ビタミンD3外用薬には表皮代謝の異常亢進を抑える作用があります。
<中度の場合>
中度の症状の場合には、光線治療を行います。
ナローバンドUVB、エキシマライトといった機器を使用して患部を治療していきます。
●ナローバンドUVB
皮膚疾患の治療に用いる紫外線治療機器です。
従来の紫外線照射の波長の中から治療に有効な波長のみに絞り、その他の有害波長をカットすることで発がん性や色素沈着のリスクを最小限に抑え、なおかつ効果を最大限に高めている機器です。
●308エキシマーシステム
対象になる疾患や効果はナローバンドUVBとほぼ同じですが、小範囲の局所を治療する場合に適した機器です。
病変部にのみ治療ができ、短時間で行える特徴があります。
<重度の場合>
全身に広がってしまっているような重度の場合は、飲み薬で体の免疫作用を調整していく治療になります。飲み薬には免疫抑制薬やPDE4阻害薬などがあります。
●免疫抑制薬
乾癬における免疫の過剰な働きを抑え、症状を改善します。
腎障害や血圧上昇などの副作用があるため、服用している期間中は定期的な血圧の測定や腎機能の検査が必要になります。
●PDE4阻害薬
乾癬でおこっている過剰な炎症を抑える薬です。主な薬名は「オテズラ錠」という薬で、日本の他に37カ国で承認され、尋常性乾癬、関節症性乾癬の治療薬として多くの患者様の治療に使われています。
<さらに重度の場合>
さらに重度の場合には、生物学的製剤の投与という選択があります。
生物学的製剤とは、科学的に合成した医薬品ではなく、生物が合成するタンパク質を応用して生成された治療です。非常に高い効果が期待できますが、反面、副作用も考えられるため、すべての患者さんが使用できる薬ではありません。
費用面に関しても他の治療に比べると少々高額になります。
このように、乾癬を放置して悪化した場合は治療方法は複雑になり、また、体への負担も大きくなります。早期に治療に取りかかれるように気になることがありましたらお気軽にお問い合わせください。